小塚山は仙石原の片隅にある溶岩ドーム、未だ謎に包まれた自然美しき山!

小塚山(こづかやま)は箱根のやや北に位置します。仙石原をぐるりと見回してください。大涌谷の噴煙と、どっしりとした台ヶ岳の横に見える山。これが小塚山です。

仙石原から望む小塚山(2021年4月22日撮影)

【火山溶岩ドームの一つ】

約40万年前から大規模な火山活動を続けてきた箱根。長い箱根火山の活動は、外側を取り巻く古期外輪山、その中に隆起する新期外輪山、真ん中に高い中央火口丘という三重式カルデラを作り上げました。

その中で神山の基礎となる中央火口丘は、約5万年前に誕生したと考えられています。

中央火口丘はその後も激しい火山活動を繰り返し、駒ヶ岳二子山早雲山台ヶ岳などの「溶岩ドーム」を誕生させました。

小塚山はこの溶岩ドームに属しており、約4万年前~1万年前、隣接する台ヶ岳とほぼ同時期にできあがったとされています。こんもりと丸い、やや傾いた山容が特徴です。

乙女峠から望む小塚山と仙石原、背後には新期外輪山の浅間山(2022年5月5日撮影)

【低山ながら未知の魅力】

小塚山は標高859m。1,000m以上の山が多い箱根にあって、決して高い山ではありません。場所は噴煙上げる大涌谷や尖った冠ヶ岳、そして箱根最高峰・神山の北側。

仙石原の片隅に位置し、西南に隣接する台ヶ岳と共に、神山の前衛峰であるかのようです。

山体は台ヶ岳と同じく深い森林に包まれ、頂上付近には半世紀前に植林されたブナ林が広がります。台ヶ岳と同様に、人を簡単に寄せ付けないのでしょう。

その分、貴重で豊富な自然が保護された山ですが、入った人がほとんどいないため、身近にありながら深い謎に包まれた山と言えます。

明星ヶ岳から望む小塚山と台ヶ岳(左)、右は丸岳(2022年3月12日撮影)

【仙石原の景観を演出】

改めて仙石原をぐるりと見回してください。北には金時山長尾山丸岳、南には台ヶ岳に冠ヶ岳に大涌谷の噴煙。そして片隅に小塚山が控えます。

四季の彩りと装いは他の山々に負けず劣らず。今も続く火山活動の激しさをピリッと引き締める・・・小塚山は片隅にありながら、仙石原の景色をまとめ上げた存在なのです。

仙石原からの眺め。左から小塚山、大涌谷、冠ヶ岳、台ヶ岳(2022年7月31日撮影)

箱根湿生花園から望む小塚山(2018年5月4日撮影)

【深い渓谷美と森の遊歩道】

小塚山が最も近くに見られるのは、国道138号「小塚入口バス停」前の小塚橋。眼下には早川が深い渓谷を成しており、秋には紅葉が美しい景観を作り上げます。

このあたりは意外に深く切れ落ちており、思わぬ渓谷美に出会えることでしょう。さらに標高を上げた山腹部には、仙石原と強羅をつなぐ神奈川県道733号が通っています。

沿道には2002年にポーラ美術館が開館。西洋絵画や日本画・彫刻など約1万点に及ぶ収蔵・展示をはじめ、ブナやヒメシャラの森林を活かした遊歩道が整備されました。

小塚山の自然を肌で感じられる、数少ない場所となっています。

小塚橋から望む小塚山(2022年7月30日撮影)

ポーラ美術館外にある「森の遊歩道」(2023年9月13日撮影)

遊歩道に見られるヒメシャラの大木(2023年9月13日撮影)

【登ってみたい…けれど】

小塚山は現在のところ登山道の有無は不明。「登った」との情報を聴くことがありますが、その道程は明らかにされていません。小塚山は仙石原から近くて遠い山、そして未だ知られざる山です。

仙石原・国道138号から望む小塚山(2021年12月30日撮影)

【小塚山からのプレゼント】

夏の夕方、小塚山の上空に虹が現れました。ほんの短時間で消滅してしまいましたが、仙石原の夕空を彩った希望の虹。

また初秋の朝、小塚山が光と霧に覆われ、わずか一瞬の間…神々しい景色が見られました。

未知の山・小塚山からの贈り物です。みなさまにいいことがありますように・・・。

小塚山に現れた虹(2022年7月6日撮影)

朝霧わく小塚山(2022年9月10日撮影)

【小塚山の基本情報】

●標高 859m
中央火口丘(溶岩ドーム)
富士箱根伊豆国立公園
●神奈川県足柄下郡箱根町
●早川渓谷は紅葉の名所
●登山道不明

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