神山は火山エネルギーの中心にあり、自然と貫禄あふれる箱根最高峰!

神山(かみやま)は箱根のほぼ中央部に位置します。仙石原の空をごらんください。噴煙わき立つ大涌谷が見られるでしょう。この奥に鎮座する山が神山、箱根でいちばん高い山です。

仙石原から大涌谷と冠ヶ岳、神山はその奥に(2020年4月29日撮影)

【神山は箱根の中心に】

約40万年前から大規模な火山活動を続けてきた箱根、神山はこの中心にそびえる最高峰です。標高は1,438m。ただ手前を冠ヶ岳に隠されているため、仙石原からはわずかに望むことができません

しかし金時山などの山々からは、すぐ目前に眺めることができます。周囲の山々を従えつつ一段と高いその姿には、貫禄さえ感じるでしょう。

金時山から望む神山と大涌谷、仙石原。右奥には芦ノ湖(2018年5月5日撮影)

【箱根では新しい部類の山】

長い箱根火山の活動は、外側を取り巻く古期外輪山、その中に隆起する新期外輪山、真ん中に高い中央火口丘という三重式カルデラを作り上げました。

神山はこの中央火口丘に属しており、約5万年前に誕生したと考えられています。

神山の基礎となる中央火口丘はその後も激しい火山活動を繰り返し、駒ヶ岳二子山早雲山台ヶ岳小塚山などの「溶岩ドーム」を誕生させます。

富士山から望む箱根連山、中央に神山(2009年10月13日撮影)

その神山が噴火(水蒸気爆発)をおこしたのは約3,000年前。北西側が大きく崩壊した後、約2,900年前にマグマが噴出して盛り上がり、尖った山体が登場しました。

山体は長い年月をかけて冷え固まり、冠ヶ岳(かんむりがたけ)となったのです。

湖尻峠付近からの眺め。左から大涌谷、冠ヶ岳、神山、右奥に駒ヶ岳、手前は芦ノ湖(2015年11月6日撮影)

【名所を次々に誕生させた山】

冠ヶ岳の誕生は北西(富士山の方向)に激しい火砕流を発生させ、既に形成されていたカルデラ内を、大量の土砂が埋め尽くしました。

この堆積した土砂が現在の仙石原を形成し、せき止められた川の水が南へ溜まり、芦ノ湖を作り上げたと言われています。

そして噴煙を上げる大涌谷が、箱根の火山活動を今に伝えているのです。

丸岳から望む神山・大涌谷と仙石原、右に芦ノ湖(2010年5月3日撮影)

【箱根最高峰は尊崇される神】

ここ箱根に人が住みはじめたのは、今から約1万3千年前頃と推測されます。当時の人々には、火を噴く神山の姿が見られたのではないでしょうか。神山は名が示すように「神」と崇められてきました。

鎌倉時代の書物「筥根山縁起幷序(はこねさんえんぎならびにじょ)」には、孝昭天皇の時代に、聖占(しょうせん)という仙人が、駒ヶ岳に「神仙宮」を建て、神山を崇拝した記録が残されています。

そして奈良時代には、箱根山中で修行を積んだ万巻上人(まんがんしょうにん)というお坊様が、現在の箱根神社の基となる「箱根権現」を建立しました。自然の中で鍛錬を行う「山岳信仰」は、神山から広まったとも言われています。

現在、駒ヶ岳頂上には神仙宮を基礎とした箱根元宮神社が建ち、神山を崇拝すると共に、世の平和と安泰を祈念しています。

駒ヶ岳から望む神山(2020年1月9日撮影)

【箱根山と呼ばれる日本三百名山】

箱根最高峰の神山は、広義的に箱根山と紹介されるケースもあります。2015年の火山活動当時、各メディアが「箱根山」と報じたことは記憶に新しいでしょう。

小田原市や湘南海岸方面から箱根連山を望めば、中央に位置する高い山。金時山と共に日本三百名山に指定されています。

小田原市酒匂川から望む神山、左に駒ヶ岳(2021年12月15日撮影)

【貴重な自然が守られる山】

神山は今も噴煙を上げているため、人が立ち入れない箇所が多くあります。しかしその分、貴重な自然環境が保護されているのも神山の特徴でしょう。

ベニバナヒメイワカガミ(2014年5月25日撮影)

とりわけ5月に山肌を彩るトウゴクミツバツツジや、ベニバナヒメイワカガミが咲き乱れる光景は、素晴らしいの一言。足元に湧き立つ大涌谷の噴煙が、人を簡単に寄せ付けない迫力を見せます。

噴煙わく神山登山道と冠ヶ岳(2010年6月5日撮影)

【またいつか登れる日を信じて…】

大涌谷から約1時間で登ることができるため、神山は金時山と並ぶ人気の山でした。しかし火山活動の活発化により、2015年5月以降、入山禁止の状態が続いています。

2023年9月時点、いぜん火山ガスの勢いはなかなか収まりそうにありませんが、またいつの日か、箱根最高峰に登れることを信じましょう。

神山登山道から望む金時山と大涌谷(2010年6月1日撮影)

【神山は仙石原を見守る神】

仙石原から神山は姿こそ見られませんが、仙石原に住む人々は日々間違いなく、神山に見守られています。時には噴煙を上げ、大地を鳴動させる山。

でも反面で私たちは、温泉という素晴らしい恵みを授けられました。試練と恩恵を繰り返しながらも、仙石原は、神山の力に生かされています。

仙石原から望む冠ヶ岳、神山はその奥に(2022年4月30日撮影)

【神山の基本情報】

●標高1,438m(箱根最高峰)
●日本三百名山
●中央火口丘
富士箱根伊豆国立公園
●神奈川県足柄下郡箱根町
現在入山禁止

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です