ヤマユリは箱根の山で純潔に大らかに、人々の想い出に強く刻まれる夏の花!

ヤマユリは仙石原に、箱根の山に、夏の訪れを告げる大輪の花。純潔無垢な白色と一種独特な香りは、多くの人々の心に強く焼き付けられます。

(2015年8月1日、仙石原にて撮影)

【箱根全山で人々を迎える夏の花】

初夏・・・箱根の山を覆っていたグレーの雨雲。でもあちこちから夏の便りが聞かれはじめると、梅雨空は少しずつ去ってゆきます。

そんな7月初め頃、箱根の山を曲がりくねる道路沿いをごらんください。濃い緑の中から、ひときわ細長い茎を出した植物が見られませんか?

さらに見れば両側に並んだやはり細長い葉と、太くて薄緑色の蕾(つぼみ)がわかるでしょう。

ヤマユリの葉と蕾(2023年7月22日、箱根湿生花園にて撮影)

そして梅雨空が完全に去り、夏の太陽が箱根の空に輝く頃、この細長い茎たちはいっせいに大きな花を咲かせます。これがヤマユリの花。

箱根に来る人・住む人誰もが、今年も夏がやってきたと実感する花です。

(2023年7月22日、箱根湿生花園にて撮影)

【姿・香り・花粉まで夏の記憶に】

ヤマユリは日本の固有種で、北陸地方を除く本州近畿地方以北に分布しており、開花期は7月中旬から8月中旬。山間部はもちろん海岸部にかけて、ごく普通に見られるでしょう。

純白をした6枚の花弁、それぞれの花弁中央に走る黄色い筋、無数に散らばる紅い斑点、真ん中から細長く伸びる雌しべ、それを取り囲むように伸びる雄しべ・・・。

さらには先端に目立つ赤褐色の花粉、花全体から漂う香り、そして背の高い茎・・・誰もの心に強烈なインパクトで刻まれる夏の花です。

(2023年7月16日、御殿場市内にて撮影)

とりわけ花は大きく直径約20cm、手のひらとほぼ同じサイズです。

ユリ科植物の中では最大級の花で、1つの茎に1輪から数輪、時には20輪近く咲くこともあり、花の重みで茎全体が垂れ下がる光景も時折見られます。

花に少しさわってみるのもいいですが、先端を彩る赤い花粉が衣服に付いてしまうと、洗濯してもなかなか取れないので注意しましょう。

先端にめだつ花粉(2023年7月24日、仙石原にて撮影)

【葉も実も印象強い神奈川県の花】

この豪華な花々をうまく演出しているのが、濃い緑色をした長い葉でしょう。長さ約15cmで互生し、縁に鋸歯はなく先端は鋭く尖ります。1つの枝にこちらも20枚ほど生えることもあります。

8月中旬頃に花はほぼ咲き終わり、秋になれば細長いピーマンのような実・蒴果(さくか)が現れ、冬になれば完熟して茶色っぽくなり、3つに裂けてきます。

その中には種子が2列に並んで入っており、風であちこちへ飛ばされるのです。

花と葉(2023年7月16日、御殿場市内にて撮影)

ヤマユリの蒴果と葉(2023年10月18日、箱根湿生花園にて撮影)

箱根ではほとんど全山にわたって観察でき、ここ仙石原でも車道沿いや仙石原自然探勝歩道に至るまで、ごくふつうに出会えるでしょう。

また箱根の国道や県道を走っていれば、山側の石垣などに咲いている光景が見られます。

ヤマユリは神奈川県の花。私が仙石原に住んでいた頃、「やまゆりポーク」という豚肉パックが販売されていました。それだけヤマユリは神奈川県の人々にとって、なじみ深い花なのです。

(2023年7月22日、箱根湿生花園にて撮影)

【お盆の花・・・ヤマユリの哀歌】

ヤマユリは別名「盆の花」と呼ばれます。夏の盛り・・・お盆の頃にはその穢(けが)れない白花を、仏前に供える地方が多くあります。

ヤマユリは夏という季節に、ご先祖さまや亡き人を迎える花。

(2023年7月24日、仙石原にて撮影)

亡くなられた方の魂が帰ってくるとされるお盆。静かに見守ってくださる方々を心から偲びつつ、ヤマユリの香と共に過ごしましょう。

盆の花・ヤマユリが咲き終われば、箱根の夏も少しずつ終わりに近づきます。

仙石原夏景色(2022年7月28日撮影)

【10年の時をかけて今、咲き誇れ!】

夏になれば箱根や仙石原のあちこちで見られるヤマユリ。しかし花を咲かせるまでには、少なくとも5年以上の時を要します。花を多く咲かせる株ほど、誕生してから10年以上が経っているでしょう。

仙石原にお越しのみなさま、10年前は何をしていましたか? この夏いっぱいに咲き誇るヤマユリは、きっと2010年代生まれ。長い年月をかけ、荘厳に純潔に夏を謳歌しています。

(2023年7月24日、仙石原にて撮影)

【ヤマユリの基本情報】

●和名…ヤマユリ(山百合)
●学名…Lilium auratum Lindl.
●英名…Gold-banded lily
●ユリ科ユリ属
●多年草
●開花期…7月中旬~8月中旬
●花…直径約15cm~20cm
(6つの白い花被片、黄色く太い筋、紅い小さな斑点、
6つの雄しべの先端には赤褐色の花粉)
●葉…長さ約15cmの被針形で互生
●茎の高さは約1m~1.5m
●花言葉…「荘厳」「威厳」「純潔」など

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