浅間山は交通網と温泉地の要所、遠く日本一の霊峰を崇める山!

浅間山(せんげんやま)は箱根の南東に位置し、深い緑で人々をいざないます。重要交通網と温泉の栄える浅間山へ、ぜひ足を運んでみませんか。

明星ヶ岳登山口から望む浅間山(2018年4月28日撮影)

【低山ながら存在感あふれる山】

浅間山は箱根の南東部にある山、南西には鷹巣山(たかのすやま・標高834m)が隣接します。仙石原中心部からは見られませんが、国道138号沿線や公時神社前からは、その姿をわずかに望めます。

金時山明神ヶ岳へ登れば全容が確認できるでしょう。駒ヶ岳へ登れば眼下に見えます。

公時神社付近から望む浅間山(2021年12月16日撮影)

金時山から望む浅間山(2015年5月6日撮影)

駒ヶ岳から望む浅間山(2020年1月9日撮影)

【箱根の交通と温泉を抱く山】

東京・横浜方面から箱根へ向かうと、二子山駒ヶ岳神山が近づいてきます。やがて箱根の山中へ入っていくと、カーブの連続する坂道がはじまるでしょう。

この坂道こそ日本の大動脈・国道1号

そして国道1号と並行しつつ、縫うように登ってゆく箱根登山電車。沿線には山麓から箱根湯本塔之沢大平台宮ノ下小涌谷…と温泉地が開けます。

箱根の交通網と温泉地を抱く山こそ、まさに浅間山なのです。

国道1号(2015年4月22日撮影)                     箱根登山電車(2015年1月3日撮影)
 

明星ヶ岳登山口から浅間山と宮ノ下温泉(2018年4月28日撮影)

【若きランナーが駆ける山】

毎年1月2日~3日に開催され、お正月の風物詩となった東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。特に箱根の山を走る区間では、白熱した闘いが繰り広げられます。

若き選手たちが悪戦苦闘して駆ける道こそ、この浅間山を曲がりくねる国道1号。温泉街からの声援は何よりもの力でしょう。

大平台の急坂(2010年5月21日撮影)                   選手を応援するのぼり旗(2009年1月3日撮影)
 

【箱根火山史上最大の噴火か?】

約40万年前から大規模な火山活動を続けてきた箱根。外側を取り巻く古期外輪山、その中に隆起する新期外輪山、真ん中に高い中央火口丘という三重式カルデラを作り上げます。

その中で約13万年前から6万年前にかけての活動は、箱根火山史上最大と呼ばれており、爆発的な噴火で岩石や火山灰を飛散させました。

カルデラ内には楯(たて)のように連なる「楯状火山」が登場し、さらに激しい活動・変動をおこして、浅間山をはじめ鷹巣山などを形成したと考えられています。

宮城野から望む浅間山と鷹巣山(2018年5月1日撮影)

後にこれらの山は「新期外輪山」と呼ばれますが、古期外輪山のように「輪」の形はしておらず、半月状の形で現在に至っているのです。

飛散した岩石は東京方面にまで飛んでおり、実際「東京軽石」と呼ばれる岩石が見つかっています。

宮城野交差点から望む浅間山(2023年5月27日撮影)

【「あさま」か「せんげん」か】

浅間山は「せんげんやま」と読みます。しかし普通は誰でも「あさまやま」と読みますね。その代表例が群馬県・長野県境にある活火山、浅間山でしょう。

「アサマ」という言葉は「火を噴く山」つまり火山という意味。

今も噴煙上げる浅間山(2017年9月29日、谷川岳から撮影)

ここ箱根の山もまさに「火を噴く山」でした。しかし富士山中で修行を積んだ長谷川角行(はせがわかくぎょう)が、「仙元大日神(せんげんだいにちしん・大日如来)」を信仰する教えを広めます。

これが江戸時代に「富士講」と呼ばれる、富士山信仰登山へと発展しました。

そして富士山には、富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)が奉られており、ここ浅間山には宮ノ下側に「浅間神社(せんげんじんじゃ)」が、大平台側に「仙元神社(せんげんじんじゃ)」がお祀りされています。

難しい歴史の経緯ですが、実際私も箱根に来てから「あさまやま」と呼ぶ人に何度も会いました。しかし「あさまやま」でも間違いではないのです。

箱根彫刻の森美術館から望む浅間山(2018年8月2日撮影)

【主な登山コースを紹介!!】

浅間山は仙石原から距離があるため、移動手段など相応分の時間を要します。
●2024年5月3日現在、仙石案内所前バス停の時刻表

(1)宮ノ下~富士見台 経由コース

仙石原から箱根登山バスの「湯本駅・小田原駅行き」に乗車し、約15分の「宮ノ下温泉」で降車します。宮ノ下熊野神社を参拝し、鬱蒼とした森林を登れば富士見台。

ここから浅間神社を参拝して尚も登り、分岐を左へ進めば浅間山頂上です。
【所要時間…片道 約1時間00分】

●宮ノ下温泉バス停(2分・国道1号を渡る際は充分注意)宮ノ下熊野神社(30分)富士見台(5分)浅間神社(15分)宮ノ下分岐(5分)浅間山頂上

宮ノ下熊野神社(2021年12月19日撮影)                 浅間神社(2021年12月19日撮影)
 

(2)大平台~仙元神社 経由コース

仙石原から箱根登山バスの「湯本駅・小田原駅行き」に乗車し、約20分の「大平台」で降車します。ここから約5分で登山口の「大平台みなと荘」さん前。

一合目から表記された標識が、十合目になると仙元神社。やがて分岐を右へ進めば浅間山頂上です。
【所要時間…片道 約1時間00分】

●大平台バス停(5分・国道1号を渡る際は充分注意)大平台みなと荘さん前(40分)仙元神社(2分)大平台分岐(10分)浅間山頂上

大平台温泉(2015年4月24日撮影)                    仙元神社(2015年4月24日撮影)
 

(3)小涌谷~千条の滝 経由コース

仙石原から箱根登山バスの「湯本駅・小田原駅行き」に乗車し、約15分の「宮ノ下駅」で降車後、徒歩3分で宮ノ下駅へ移動。箱根登山電車の「強羅行き」に乗車し、次の「小涌谷駅」で降車します。

千条の滝通りを上ると、森の中に落ちる千条の滝(ちすじのたき)。すぐ上の分岐から左の道を登り、分岐を右へ進めば浅間山頂上です。【所要時間…片道 約1時間05分】

●小涌谷駅(25分・国道1号を渡る際は充分注意)千条の滝(分岐を左へ・35分)宮ノ下分岐(5分)浅間山頂上 (※千条の滝から分岐を右へ登ってもほぼ同タイム)

小涌谷駅前(2015年4月24日撮影)                    千条の滝(2024年4月15日撮影)
 

時間があれば鷹巣山を往復しましょう(片道約25分)。帰りは往路を戻るか、各バス停へ下るもよし。箱根登山電車を利用して強羅駅へ行き「施設めぐりバス」で仙石原へ帰る方法もあります。

●2024年5月3日現在、宮ノ下温泉バス停の時刻表
●2024年5月3日現在、大平台バス停の時刻表
●2024年5月3日現在、小涌谷駅の時刻表

●2024年5月3日現在、強羅駅バス停の時刻表

(注 1)仙石原方面へ運行するのは箱根登山バスのみ、伊豆箱根バスは運行していません。
(注 2)小涌谷駅から仙石原方面への直通バスはないため、宮ノ下または強羅へ移動します。

浅間山頂上(2015年4月24日撮影)

もっと時間と体力に余裕があれば箱根湯本まで下り、湯坂路(ゆさかみち・鎌倉古道)を登るのもおすすめです。途中で大平台からの登山道を合わせて浅間山へ。

さらに鷹巣山を越えて国道1号を歩き、芦之湯~精進ヶ池方面へ到達します。
【所要時間…約3時間30分】

浅間山付近の湯坂路(2024年4月15日撮影)

マイカーをお持ちであれば、神奈川県道75号国道1号を経由して約30分の「精進ヶ池 」前に駐車。

すぐ前の六道地蔵バス停から、箱根登山バスまたは伊豆箱根バスの「湯本駅・小田原駅行き」に乗車し、上記各登山口のバス停へ向かいます。

登頂後は各バス停へ下山し、元箱根・箱根町方面行きのバスに乗車するか、鷹巣山を経て国道1号を歩き、六道地蔵バス停と精進ヶ池へ戻ります。
【鷹巣山から精進ヶ池までは約45分】

●2024年5月3日現在、箱根登山バス・六道地蔵バス停の時刻表
●2024年5月3日現在、伊豆箱根バス・六道地蔵バス停の時刻表

精進ヶ池と駒ヶ岳(2021年12月19日撮影)                六道地蔵バス停(2021年12月19日撮影)
 

【浅間山は深い魅力を秘めた山】

昔より人々から崇拝された富士山。ここ浅間山にも「富士見台」があり、天気が良ければ美しい富士山を遠望できるでしょう。

重要な交通網が温泉地を結び、箱根火山史上最大の噴火で誕生した山。複雑な名前のルーツに富士山の信仰もあり…浅間山は不思議いっぱいの山です。

富士見台から富士山を遠望(2000年5月1日撮影)

富士山から望む箱根、矢印下に浅間山(2010年9月11日撮影)

【浅間山の基本情報】

●標高 802m
●新期外輪山
●すぐ南西には鷹巣山
富士箱根伊豆国立公園
●神奈川県足柄下郡箱根町
●山腹を国道1号と箱根登山電車が通る
●箱根湯本、大平台、宮ノ下、小涌谷の各温泉から登れる

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です