鷹巣山は箱根の奥に緑あざやか、花と野鳥と昆虫たちが集う山!

鷹巣山(たかのすやま)は箱根の南東に位置し、重要交通網を見守ります。緑や花がいっぱいにあふれ、野鳥たちも飛び交う鷹巣山へ登ってみませんか。

強羅駅前から望む鷹巣山(2023年5月27日撮影)

【緑濃く奥深い箱根の一座】

鷹巣山(または鷹ノ巣山)は箱根の南東部にあり、北東には浅間山(せんげんやま・標高802m)が隣接しています。仙石原からは姿を望めませんが、金時山明神ヶ岳に登れば確認できるでしょう。

山また山の真ん中に、ぽっこりと茶碗を伏せたような形。頂上部の広い浅間山とは対照的ですが、思った以上に奥が深く、意外に知られていない山です。

金時山から望む鷹巣山(2024年5月4日撮影)

【重要交通網と箱根駅伝の山】

東京・横浜方面から箱根へ向かうと、二子山駒ヶ岳神山が近づいてきます。やがて箱根の山中へ入ると、カーブの連続する坂道がはじまるでしょう。この坂道こそ日本の大動脈・国道1号

箱根湯本塔之沢大平台宮ノ下小涌谷芦之湯…と温泉地を通過し、芦ノ湖方面へと至る箱根のメインルート。そのすぐ横に立つ鷹巣山は、往来する車を日々見送っています。

また毎年1月2日~3日に開催され、お正月の風物詩となった東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。特に箱根の山を走る区間では、白熱した闘いが繰り広げられます。

若き選手たちが正念場を迎えるのは、まさに鷹巣山付近と言ってもいいでしょう。

ホテル箱根小涌園前から望む鷹巣山(2024年4月15日撮影)

【箱根火山史上最大の噴火で…】

約40万年前から大規模な火山活動を続けてきた箱根。外側を取り巻く古期外輪山、その中に隆起する新期外輪山、真ん中に高い中央火口丘という三重式カルデラを作り上げます。

その中で約13万年前から6万年前にかけての活動は、箱根火山史上最大と呼ばれており、大爆発的な噴火で岩石や火山灰を飛散させました。

カルデラ内にはあたかも楯(たて)のように連なる「楯状火山」が登場し、さらに激しい活動・変動をおこして、鷹巣山や浅間山などを形成したと考えられています。

宮城野から望む浅間山(左)と鷹巣山(2018年4月28日撮影)

後にこれらの山は「新期外輪山」と呼ばれますが、古期外輪山のように「輪」の形はしておらず、半月状の形で現在に至っているのです。

飛散した岩石は東京方面にまで飛んでおり、実際に「東京軽石」と呼ばれる岩石が見つかっています。

金時山から望む浅間山(左)と鷹巣山(2024年5月4日撮影)

【幻の城と日本史上超有名人物】

この山には「鷹ノ巣城(たかのすじょう)」があったとされています。城と言っても天守閣のある立派な建物ではなく、戦の時に敵を迎え撃つ「山城(やまじろ)」。

とりわけ小田原を拠点としていた北條氏が、天下統一を目指す豊臣秀吉軍を迎え撃った説は有名でしょう。ただ、この城がいつ建てられたのか、どこにあったのか…。

隣接する浅間山にあったとも言われており、はっきりしたことはわかっていないのです。

それでも鷹巣山が小田原から近いことは確か。天下人の豊臣秀吉徳川家康も、あるいは鷹巣山に登ったのかもしれません。

鷹巣山から小田原~横浜方面を望む(2021年12月19日撮影)

【鷹巣山は花と生物の宝庫!!】

標高834mの鷹巣山では、実にさまざまな花や野鳥・昆虫たちが賑わいを見せます。24枚の写真で一挙にご紹介しましょう。

ヤマザクラ(2024年4月15日撮影)                    ニオイタチツボスミレ(2024年4月15日撮影)
 

ミソサザイ(2008年4月9日撮影)                    キビタキ(2015年6月17日撮影)
 

コアジサイ(2015年6月17日撮影)                    ヤマアジサイ(2015年6月17日撮影)
 

ヤマボウシ(2015年6月17日撮影)                    シロバナイナモリソウ(2013年7月14日撮影)
 

ヤマニガナ(2015年6月17日撮影)                    サワガニ(2010年7月8日撮影)
 

オバボタル(2010年7月1日撮影)                    オオトラフコガネ(2010年7月1日撮影)
 

バライチゴ(2014年6月25日撮影)                    ウツボグサ(2013年7月14日撮影)
 

シモツケ(2010年7月1日撮影)                     オカトラノオ(2013年7月14日撮影)
 

ツマグロヒョウモン(2014年6月25日撮影)                クロアゲハ(2014年6月25日撮影)
 

ジャコウアゲハ幼虫(2010年7月8日撮影)                ジャコウアゲハ成虫(2010年6月15日撮影)
 

シロモンクロノメイガ(2014年6月25日撮影)               ヤマホトトギス(2014年9月2日撮影)
 

オミナエシ(2014年9月2日撮影)                    ワレモコウ(2014年9月2日撮影)
 

【主な登山コースを紹介!!】

鷹巣山は仙石原から距離があるため、移動手段など相応分の時間を要します。

(1)精進ヶ池~湯坂路 経由コース

マイカーをお持ちであれば、神奈川県道75号国道1号を経由して約30分の「精進ヶ池」前に駐車。石仏群を拝みつつ、国道1号沿線の遊歩道を歩きます。

芦之湯を通過して行くと右側の「湯坂路入口」から登山道へ。右に飛龍の滝~畑宿への道を分け、約15分で鷹巣山頂上です。

【所要時間…片道 約1時間00分】
●精進ヶ池(5分)二十五菩薩(10分)芦之湯温泉前(15分)湯坂路入口(15分)鷹巣山頂上

精進ヶ池と駒ヶ岳(2010年6月15日撮影)                 国道1号最高地点から芦之湯方面(2020年1月3日撮影)
 

鷹巣山への登山道(2024年4月15日撮影)

帰りは往路を戻るか、浅間山手前の小涌谷分岐を千条の滝(ちすじのたき)~小涌谷駅バス停へ下り、元箱根・箱根町方面のバスに乗車。約11分の「六道地蔵バス停」で降車し精進ヶ池に到着です。

小涌谷分岐から浅間山を往復するのもいいでしょう(片道約10分)。

●2024年5月3日現在、箱根登山バス・小涌谷駅バス停の時刻表
●2024年5月3日現在、伊豆箱根バス・小涌谷駅バス停の時刻表

(2)宮ノ下~浅間山 経由コース

●2024年5月3日現在、仙石案内所前バス停の時刻表

公共交通機関で仙石原から最も近いアクセス方法。箱根登山バスの「湯本駅・小田原駅行き」に乗車し、約15分の「宮ノ下温泉」で降車します。

宮ノ下熊野神社から富士見台~浅間神社を経由し浅間山頂上。ここから鷹巣山へは小涌谷分岐を過ぎ、石だたみと段々の急斜面を登ります。

帰りは往路を戻り、仙石原方面行きのバスに乗ってもOK。小涌谷分岐から千条の滝~小涌谷駅へ下り、箱根登山電車強羅まで乗車。「施設めぐりバス」で仙石原へ戻る方法もあります。

宮ノ下温泉バス停(2021年12月19日撮影)                浅間山頂上から神山を望む(2024年4月15日撮影)
 

浅間山から鷹巣山への急登(2021年12月19日撮影)

【所要時間…片道 約1時間30分】
●宮ノ下温泉バス停(2分・国道1号を渡る際は充分注意)宮ノ下熊野神社(30分)富士見台(5分)浅間神社(15分)宮ノ下分岐(5分)浅間山頂上(10分)小涌谷分岐(15分)鷹巣山頂上

上記の他、大平台からのコースや、箱根湯本から湯坂路(ゆさかみち・鎌倉古道)のロングコースがあり、いずれも浅間山を経由します。

●2024年5月3日現在、宮ノ下温泉バス停の時刻表
●2024年5月3日現在、大平台バス停の時刻表
●2024年5月3日現在、小涌谷駅の時刻表

●2024年5月3日現在、強羅駅バス停の時刻表

(注 1)仙石原方面へ運行するのは箱根登山バスのみ、伊豆箱根バスは運行していません。
(注 2)小涌谷駅から仙石原方面への直通バスはないため、宮ノ下または強羅へ移動します。

千条の滝(2015年6月17日撮影)                     小涌谷駅バス停前(2014年9月2日撮影)
 

【箱根の奥深さを味わえる山】

鷹巣山は仙石原からやや距離がありますが、国道1号や箱根登山電車から近く、隣接の浅間山と共に気軽に登れる山です。

低山ながらも奥が深く、思う存分に森林浴ができるでしょう。

そして鷹巣山は箱根の交通を見守る山、帰りはどうぞ安全運転で…鷹巣山もそう願っています。

鷹巣山頂上、向こうには明神ヶ岳(2021年12月19日撮影)

【鷹巣山の基本情報】

●標高 834m
●新期外輪山
●すぐ北東には浅間山
富士箱根伊豆国立公園
●神奈川県足柄下郡箱根町
●鷹ノ巣城があったとされる
●山腹を国道1号が通る
●箱根湯本、大平台、宮ノ下、小涌谷、芦之湯の各温泉から登れる
クマ出没について

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