サンショウバラは箱根町の誇り、淡いピンクの花よ永遠に輝け!

サンショウバラは誰の心をもとらえる淡いピンク色、世界最大のバラとして開花します。初夏の空と深緑に映える姿は、ここ箱根の山の象徴です。

(2010年6月13日、湖尻付近にて撮影)

【初夏の箱根のあちこちに…】

爽やかな五月晴れの空が、やがて梅雨空に変わろうとする5月下旬。箱根町内のあちこちに、ピンク色の花がぽつぽつと咲き始めます。

葉が山椒(サンショウ)に似ていることから名付けられたサンショウバラ。

ここ仙石原でも箱根湿生花園をはじめ、長安寺公時神社の境内、金時山などで見られます。各家庭にも植えられており、一斉に開花する光景は見事でしょう。

(2020年6月2日、箱根湿生花園にて撮影)

【貴重な世界最大のバラ】

サンショウバラが開花するのは5月下旬から6月中旬。高さ約5m~6mの樹木に、直径約8cmの「五弁花」が目立ちます。特徴の淡いピンク色は少しずつ濃くなりますが、ときどき白い花も見られます。

日当たりの良い場所を好むため、その分花も大きくなるのでしょう。地球上には約150種類のバラがありますが、サンショウバラは木の高さ・花の大きさから「世界最大のバラ」と言われています。

花には黄色い花粉が付いており、多くの虫たちが集まってきます。

(2009年5月26日、湖尻付近にて撮影)

ちなみに箱根湿生花園では、同じバラ科でよく似た「ハマナス」が見られます。

ハマナス(2015年6月11日撮影)

【夏から秋にはトゲトゲの実】

花が終わってしばらく期間を置き、夏には硬いトゲに覆われた果実を付けます。果実ははじめ青緑色をしていますが、秋にはだんだん黄色く熟してくるでしょう。

虫に食われていることが多いですが、果実酒やジャムに利用できます。

(2022年8月27日、箱根湿生花園にて撮影)               (2022年9月4日、箱根湿生花園にて撮影)
 

【ハコネバラと呼ばれる町の花】

サンショウバラは標高500m以上のみに育つため、ここ箱根はまさに最適な環境。その美しさと清楚さから、1976(昭和51)年8月に箱根町の花とされました。

(同時にヤマザクラが「箱根町の木」に制定されています)

知名度はどんどん高まり、いつしか「ハコネバラ」の呼称が付けられたのです。

(2010年6月18日、芦之湯にて撮影)

【日本では富士山と箱根だけに】

さらにサンショウバラは、日本ではここ箱根や富士山周辺のみに棲息しています。愛鷹連峰や丹沢連峰、伊豆天城方面ではお目にかかれません。

咲いている期間も短いため、世界に誇れる貴重な花なのです。

明神ヶ岳から望む箱根の山々と富士山(2022年3月12日撮影)

【あの日あの時も咲いていた…】

2015(平成27)年初夏、大涌谷の火山活動により箱根は一時噴火警戒レベル3となりました。

もしかしたら大きな噴火がおきるのかここ仙石原にも不安と緊張が走ったことを、今でもはっきりと思い出します。

ちょうど季節はサンショウバラの咲く頃。箱根を訪れる人々、住む人々の不安を和らげてくれたのは、サンショウバラの花々でした。

そして今なお続く新型ウイルスの不安も、サンショウバラが少しおさめてくれたように思います。

サンショウバラは人々に元気を与える箱根の誇りです。

(2009年6月8日、湖尻付近にて撮影)

【サンショウバラの基本情報】

●和名…サンショウバラ(山椒薔薇)
(別名…ハコネバラ)
●学名…Rosa hirtula
●英名…なし
●バラ科バラ属
●落葉小高木
●樹高…約 5m
●直径約8cmの五弁花
●葉…奇数羽状複葉(1つの枝に9枚~19枚)
●開花期…5月下旬~6月中旬
●箱根町の花に制定される
●花言葉…「温かい心」

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