仙石原諏訪神社は古くからの守り神、獅子が力強く舞う「お諏訪さん」

仙石原諏訪神社は、山ふところにひっそり佇む静かな神社。しかし毎年春には寒風を切り裂き獅子が舞います。さあ、心静かに鳥居をくぐらせて頂きましょう。

湯立獅子舞(2022年3月27日撮影)

【国道から入れば静粛な空気が】

御殿場・小田原・大涌谷の各方面へ、多くの車が行き交う仙石原交差点国道138号県道75号の分岐も成す信号から少し入ると、青緑色の鳥居が立っています。

(2023年2月3日撮影)

一礼してくぐれば、つい数秒前の賑わいが嘘のような、緑深い森に迎え入れられるでしょう。
ここが仙石原諏訪神社。「お諏訪さん」として仙石原の人々に崇められています。

仙石原諏訪神社(2022年9月22日撮影)

【崇められる仙石原の氏神さま】

創建年代は不明ですが、江戸時代の1672(寛文12)年に鎮座したと言われており、1873(明治6)年には「村社」と定められました。まさに仙石原の「氏神さま」「守り神さま」なのです。
厳粛な空気の漂う境内で手を清め、31段の石段を上れば「拝殿」に到着します。

お祀りされている神様は「建御名方命(タケミナカタノミコト)」。

長野県の諏訪大社を総本社とし、全国に約25,000社存在する「諏訪神社」の御祭神で、国土開拓の神様として広く崇拝されています。心をこめて参拝しましょう。

仙石原諏訪神社拝殿(2022年7月24日撮影)

参拝をすませたら「神楽坂」を下り、境内に戻ります。

【歴史と伝統を誇る湯立獅子舞】

普段は静かな仙石原諏訪神社ですが、毎年3月27日には例祭の「湯立獅子舞(ゆたてししまい)」が行われ、境内は賑わいをみせます。

江戸時代中期の1776(安永5)年に、甲斐国郡内下吉田村(現在の山梨県富士吉田市)の萱沼儀兵衛(かやぬまぎへえ)によって伝えられた、長い歴史を誇る祭事。

「湯立神楽(ゆたてかぐら)」とも呼ばれ、仙石原諏訪神社氏子会のみなさんにより、厳格な規律と伝統のもとに執り行われます。

湯立獅子舞(2016年3月27日撮影)
 

【早春の風に熱く激しく勇ましく】

湯立獅子舞は約2時間に及び、「宮舞」をはじめ「平舞」「剣の舞」「行の舞」「宮めぐりの舞」「釜めぐりの舞」「四方固めの舞」の七構成。獅子は笛太鼓の囃子と共に、時に激しく、時にゆるやかに、時に剣を振りかざしつつ、境内を勇ましく駆けめぐります。

中でも「釜めぐりの舞」では、熱湯の煮えたぎる釜の周りを獅子が練り歩き、手にした熊笹の葉で人々に熱湯を振りまきます。この湯花を浴びれば悪疫が払われ、一年間を無病息災に過ごせるというありがたい儀式。3月下旬とはいえまだ風冷たい仙石原に、ホカホカと熱く春の訪れを告げる祭事です。

湯花を人々に振りかけ無病息災を祈る行事は数多くありますが、獅子舞の形で行われるのは全国でも稀のです

釜めぐりの舞(2022年3月27日撮影)

釜めぐりの舞(2022年3月27日撮影)

1976(昭和51)年には神奈川県無形民俗文化財に、2022(令和4)年には国の重要無形民俗文化財に指定され、新たに記念碑が建立されました。5月5日には公時神社の例祭にて奉納される他、仙石原の東隣にある宮城野諏訪神社でも7月15日に湯立獅子舞が行われます。

境内に建つ湯立の歌石碑(2022年7月18日撮影)              新しく建立された記念碑(2023年3月15日撮影)
 

【仙石原に四季を伝え続ける神様】

仙石原諏訪神社は四季さまざまな姿を見せてくれます。春の若葉に、夏の深緑・・・。

(2015年4月22日撮影)

(2022年5月26日撮影)

そして秋の紅葉、冬の深雪・・・仙石原に四季の移り変わりを知らせます。

(2010年11月23日撮影)

(2022年2月10日撮影)

【仙石原諏訪神社様へ、感謝の言葉】

私は2022年10月27日まで、仙石原諏訪神社の近くに住んでいました。時折「パン、パン」と柏手を打つ音がきこえるほど、仙石原の人々に親しまれた「お諏訪さん」

仙石原から御殿場へ引っ越す日の朝、これまで16年間の感謝をこめてお参りしました。そして今もときどき訪れ、いつもこう願います。

「仙石原諏訪神社様、ここ仙石原にて16年もの間、幸せに生活をさせて頂きありがとうございました。私は新たな地へ旅立ちますが、どうぞ今後とも、仙石原のみなさまをお見守りくださいませ」

仙石原諏訪神社(2023年3月15日撮影)

【仙石原諏訪神社の基本情報】

●正式名称・・・邨社諏訪神社
●鎮座地・・・神奈川県足柄下郡箱根町仙石原
●御祭神・・・建御名方命(タケミナカタノミコト)
●祭礼日
・3月27日・・・ 諏訪神社例祭、山神神社例祭(湯立獅子舞)
・5月5日・・・公時神社例祭にて湯立獅子舞
・7月第三日曜日・・・湯立獅子舞、神輿渡御
・10月25日・・・御神火巡業祭
・11月24日・・・新嘗祭
・12月25日・・・大祓祭
・12月31日~1月1日・・・初詣祭
●交通アクセス・・・仙石バス停から徒歩2分
箱根登山バス・箱根湯本駅から約30分)
小田急箱根高速バス・バスタ新宿から約120分)
●公式サイトはこちら

Follow me!

仙石原諏訪神社は古くからの守り神、獅子が力強く舞う「お諏訪さん」” に対して2件のコメントがあります。

  1. 加藤久幸 より:

    こんにちは、毎回非常に興味深い記事を読ませていただきありがとうございます。
    先日、ダイドーさんがスポンサーでTVKで日本の祭りという番組があり
    仙石原の湯立獅子舞が特集されました。昨年は箱根町郷土資料館の特別展を見に行きましたが、
    仙石原に住んで四半世紀ですが、未だに実際に見たことがない。来年こそは来年こそはと思いながら中々タイミングが合わない。熊笹の葉の熱湯を浴びたいとずっと思ってます。

    1. 加藤 学 より:

      加藤久幸 様

      日頃よりご覧頂き、そしてコメントを頂きありがとうございました。

      昨年10月まで16年間を仙石原で過ごしましたが、実は私も湯立獅子舞は数えるほどしか見に行っておりません。・・・先日のTVKの番組、再放送があれば楽しみですね。

      今後も充実した情報発信を続けてまいります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です