長安寺は歴史深い仙石原の古刹、心で観ずる五百羅漢に季節の花々
長安寺(ちょうあんじ)は季節の花々が咲き競い、幾百の人々の面影が静かに宿るお寺です。さあ、心清らかに、心穏やかにお詣りさせて頂きましょう。
この記事の目次
【緑深き山門をくぐれば古刹が】
国道138号と県道75号の分岐となる仙石原交差点は、箱根の山を行き交う車でいつも賑わいます。この道路から少し入れば、歴史を感じさせる石柱門(大門)が迎えてくれるでしょう。
手を清めて緑深い参道を進み、間もなく山門をくぐれば、長安寺本堂に到着します。
石柱の建つ大門(2022年5月10日撮影) 手を清める水屋(2022年4月30日撮影)
長安寺は正式名称を「曹洞宗龍虎山長安寺」と呼びます。本尊は釈迦如来さま。創建と歴史は古く南北朝時代の1356(延文元)年で、当初は大涌谷近くの姥子にある小さなお堂でした。
そして複数の説がありますが、江戸時代の1655(明暦元)年または1658(万治元)年、現在の仙石原に建立し「龍虎山」の号が冠されています。
【喜怒哀楽その表情はさまざま】
本堂で心静かに合掌をすませたら、参道へと入ってみましょう。道沿いの山肌をごらんください。笑った顔、怒った顔、おどけた顔、瞑想した顔・・・さまざまな表情をした「五百羅漢」の像。
お釈迦様の弟子として修行を積み、最高位を与えられた「阿羅漢(あらかん)」という方が、喜怒哀楽の顔を見せる五百人を呼び集めたとされています。
五百羅漢は1985(昭和60)年に建立が始まりました。14人の彫刻家によって約300体近くが築かれており、現在も建立は続けられています。
【箱根の山を活かした和尚様】
長安寺には五百羅漢と共に、古刹を想わせるスポットがあります。心静かに訪ねてみましょう。
(写真は2017年~2023年)
1979(昭和54)年に長安寺を継がれた和尚様は「訪れる人々にとって、よりよい癒しの場」となるよう、山の竹やぶを切り開きつつ「羅漢山」を作ります。
当初は「小京都」のようなイメージを描かれていたのですが、独特の地形と環境を活かした「箱根ならではの雰囲気」に、五百羅漢像をはじめ庭園や庵、燈籠、そして多くの花々を整えられたのです。
和尚様の想いにふれながら、境内を巡ってみたいですね。
【心で観たい四季の花々たち】
長安寺は「東国花の寺 百ヶ寺」に指定されるほど、花の名所としても有名です。表情豊かな五百羅漢さまに見守られつつ、花々を「心から観じ」ましょう。数ある中から一部をご紹介します。
スイセン(2018年3月28日撮影) ショウジョウバカマ(2017年4月10日撮影)
キレンゲツツジ(2017年4月15日撮影) ハクモクレン(2016年4月10日撮影)
トキワイカリソウ(2020年5月5日撮影) タニギキョウ(2020年5月5日撮影)
トウゴクミツバツツジ(2020年5月5日撮影) シャクナゲ(2020年5月5日撮影)
ベニバナイカリソウ(2020年5月5日撮影) シロヤシオ(2014年5月10日撮影)
ヒメシャガ(2017年5月16日撮影) セッコク(2017年5月16日撮影)
ミヤマオダマキ(2015年5月18日撮影) イワタバコ(2017年6月27日撮影)
オオバジャノヒゲ(2019年7月6日撮影) シュウカイドウ(2017年9月2日撮影)
キレンゲショウマ(2017年9月18日撮影) シュウメイギク(2010年10月3日撮影)
【晩秋の箱根を彩る紅葉・黄葉】
そして秋は一面の紅葉に彩られ、多くの人々が足を運びます。
【激動の社会に生きる人々へ】
長安寺の山門前には近年、一つの石碑が建てられました。私の記憶では、新型ウイルスが世界的蔓延となった頃に思います。
あまりにも変化が激しい現代社会。仕事も人間関係も複雑になり、苦しみ悩みを抱える人が少なくありません。実は私自身もここ数年、当たり前と思っていた日常生活が揺らいでいました。
そのような中で、長安寺がどれだけ心の安らぎになったでしょうか。
さまざまな表情の五百羅漢さんが、心癒す花々が迎える、緑深く静かな山奥のお寺。
落ち着いて穏やかに手を合わせれば、何をすべきかが心の中に示されるかもしれません。
【長安寺の基本情報】
●正式名称・・・曹洞宗龍虎山長安寺
●神奈川県足柄下郡箱根町仙石原
●境内と参道の五百羅漢が有名
●東国花の寺 百ヶ寺の一つ
●箱根を代表する紅葉の名所
●交通アクセス・・・仙石バス停から徒歩2分
(箱根登山バス・箱根湯本駅から約30分)
(小田急箱根高速バス・バスタ新宿から約120分)
●専用駐車場あり
(11月の紅葉シーズンは大変混み合います。出入りは充分ご注意ください)
●箱根町観光協会による検索はこちら