ウグイスは高く朗らかに春を告げる鳥、箱根全山あちこちでホーホケキョ♫!

ウグイスは誰もがその声に、暖かな春の訪れを実感する鳥。ここ箱根仙石原でも私たち日本人の心に、季節の移り変わりを強く響かせます。

(2017年5月4日、金時山にて撮影)

【誰もがその声に春を感じる】

冷たい冬の北風が温かな南の風に変わり、箱根の山を柔らかく吹きわたる3月中旬。各地からサクラの便りも聞かれ始める頃、その声はどこからともなく聴こえてきます。

「ホー・・・ホケキョ!!」・・・朗らかなその声の主こそウグイス。いろいろな言葉や説明はいりません。誰もがこのウグイスに、春の訪れを感じるのです。

(2016年5月5日、丸岳にて撮影)

ウグイスは日本全国に分布する鳥で、一年を通して移動しない「留鳥」の場合もあれば、地域によっては夏の間を山地で過ごし、冬に平地へ下りる「漂鳥」の場合もあります。

箱根では全山にわたって生息しており、ここ仙石原はウグイスの天下と言ってもいいでしょう。

【私たちは警戒されている?】

ウグイスは何といっても「ホー・・・ホケキョ!!」の声ですね。この声はオスの「さえずり」で、周囲への縄張り宣言の意味があります。

巣を作ってメスが産卵する初夏には、とりわけ多く声がきかれるでしょう。

ウグイスが多い金時山登山道(2018年5月5日撮影)

ウグイスの声には「ホー・・・ホケキョ」以外にも、「チャッ、チャッ」という地鳴きや、山歩きの最中に「ケキョケキョケキョケキョ・・・」という声が聴かれることがあります。

「谷渡り」と呼ばれる風流な声色ですが、実はこれは警戒の声。「不審者が来たから気をつけろ」と、私たちが警戒されているのです。

【声はすれども姿はなかなか・・・】

大きく朗らかに歌うウグイス。その声はあちこちで聴かれるのですが、姿を見たことのある方は少ないでしょう。ウグイスは茶色~黄色っぽいため、周囲の草木や葉の色と区別がつきにくいのです。

とりわけ仙石原のようにススキが多い所では、なおさら姿を見ることは難しいでしょう。でも草木や葉の色に似ているからこそ、ウグイスは外敵に襲われにくい術を心得ているのです。

(2016年4月8日、千葉県勝浦市にて撮影)

【ウグイスとホトトギスの攻防戦】

そんなウグイスにも厄介な相手がいます。それがホトトギス。一度耳にしたら忘れられない特徴的な声で鳴く、ウグイス同様に私たち日本人にはなじみ深い鳥ですね。

この2羽は共に初夏になると繁殖期を迎え、ウグイスは巣を作り産卵します。

ところがホトトギスは隙を狙ってウグイスの巣に産卵し、ウグイスに雛(ひな)を育てさせるのです。(ホトトギスの托卵

初夏のススキ草原(2022年5月26日撮影)
 

ただウグイスもわかっていて、そうさせないよう親鳥が警戒しているのです。仙石原や金時山では5月~6月、せめぎ合うウグイスとホトトギスの声がこだまします。

【人間の世界にもウグイスが進出】

昔から日本人と関わり深いウグイス。それだけにいつしか人間の日常生活にもウグイスは入ってきています。和歌俳句にも多く詠まれました。

鶯谷(うぐいすだに)という地名や、京都・二条城鴬張りの廊下、野球場等で選手をコールする「ウグイス嬢」などなど、私たち人間にはウグイスが定着しているのです。

鴬張り廊下のある二条城二の丸御殿(2017年12月12日撮影)

ウグイス嬢の声が流れる阪神甲子園球場(2016年8月21日撮影)

【ウグイスはウグイス色ではない】

またいつの頃からか、ほんのりとした緑色に「ウグイス色」という表現がされてきました。ただこのウグイス色はウグイスの体色ではなく、メジロの体色と思われます。

メジロ(ともに2018年1月16日、小田原市内にて撮影)
 

梅にウグイス」という、春の訪れを謳った朗らかな和歌を人々が詠むことで、いつしか「ウグイス色」が広まっていったのでしょう。

しかし私たちが抵抗なくすんなりと受け入れられるのは、ウグイスが昔から、人々に深く親しまれている鳥だからに違いありません。

【たとえ姿は見られなくても・・・】

私は1996(平成8)年から26年間を神奈川県箱根町に住み、現在は静岡県御殿場市へ生活拠点を移していますが、その間ウグイスの姿を目撃したことは、本当に数えるほどしかありません。

それだけに姿を見たときは、大変得した気分になったものです。周囲の色に合わせて、かくれんぼが上手なウグイス。しかしその朗らかな鳴き声は、いっぱいに響きわたります。

春から夏、仙石原でいちばん聴かれる鳥の声は「ホー・・・ホケキョ!!」

(2017年5月4日、金時山にて撮影)

【ウグイスの基本情報】

●和名…ウグイス(鶯)
●学名…Horornis diphone
●英名…Japanese Bush Warbler
●ウグイス科ウグイス属
●漂鳥または留鳥
●観察できる時期…3月中旬~8月下旬
●体長…オスは約16cm、メスは約14cm
●翼開長…オスは約21cm、メスは約18cm
●体色…全体的に地味
(背中は黄褐色、腹部は白色)
●鳴き声
・地鳴き…チャッ、チャッ
・さえずり…ホー ホケキョ
・警戒音…ケキョケキョケキョケキョ
日本三鳴鳥の一つ

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