マメザクラは可憐ながらも強い存在感、富士箱根の山々に爛漫と咲き誇る!

マメザクラは富士山や箱根という、日本を代表する地域に咲く花。その木や花は小さくとも、絶景と火山をバックに、大きく美しく咲き誇ります。

(2010年4月25日、仙石原自然探勝歩道にて撮影)

【いちばん優れて美しい人】

ソメイヨシノオオシマザクラヤマザクラなど、今が盛りとサクラが咲き誇る春の箱根。

そのサクラたちの中で他の木よりもつつましやかに、でもしっかりと存在感を放っているサクラが咲いています。それがマメザクラ

確かに他のサクラほど豪華絢爛ではありません。しかし自分を決して小さく見せることなく、青空に純白さを輝かせる様は、花言葉の「優れた美人」を物語っているのでしょう。

(2023年4月4日、乙女峠にて撮影)

【フジザクラとハコネザクラ】

マメザクラは日本の固有種で、高さ約3m~8mの落葉広葉樹低木。

関東地方西部~南部に多く見られますが、山梨県・長野県・静岡県の富士山周辺に見られるこそ、マメザクラの大きな特徴と言えます。そのため「フジザクラ」の呼称も一般的になっているのです。

ここ箱根では3月中旬~5月中旬にかけて見られ、仙石原では3月下旬頃から、箱根湿生花園仙石原自然探勝歩道で開花します。

4月になれば、長尾峠丸岳乙女峠金時山明神ヶ岳にかけての古期外輪山芦ノ湖周辺が、マメザクラの花々にどんどん彩られるでしょう。

(2017年5月2日、丸岳にて撮影)

また箱根最高峰・神山から駒ヶ岳では4月下旬に開花。箱根駒ヶ岳ロープウェーに乗れば、眼下にマメザクラの群落を望むことができます。

「フジザクラ」のみならず「ハコネザクラ」と地名を冠して呼ばれるのもマメザクラの特徴。

花が終わると長さ約2cm~5cmの、縁に鋸歯状が刻まれた小さな葉が出てきます。そして5月~6月の初夏には結実。はじめは赤色ですが、だんだん黒く熟してきます。

マメザクラの葉と実(2010年6月21日、湖尻付近にて撮影)

【厳しく過酷な自然環境で】

マメザクラは前述のように関東地方西南部や富士山周辺地域に見られますが、このマメザクラの他にも、北陸地方から近畿地方に見られるキンキマメザクラや、関東地方北部に咲くブコウマメザクラという3種があります。

その中でもここ富士山や箱根に咲くマメザクラは、標高1,000m~2,500mという自然環境で育つのです。マイナス20℃の寒さにも耐えられるというのは、他のサクラでは真似できないでしょう。

今年もいっぱい見られるマメザクラは、雨風が容赦なく吹きつける厳しい気象を生きぬいてきた、強くたくましい花々なのです。

気象激しい駒ヶ岳に咲くマメザクラ(2015年4月27日撮影)

【芦ノ湖畔ではじめて見た】

私は現在こそ静岡県御殿場市に住んでいますが、1996(平成8)年3月に箱根町を生活拠点とし、同時に芦ノ湖畔にある「箱根ビジターセンター」で勤務を始めました。

間もなく行われた春の自然観察会。いきなり目に飛び込んできたのは、芦ノ湖からの風がまだ冷たい高台に、ぽつんぽつんと咲くマメザクラでした。

厳しい気象に耐えて花を咲かせたマメザクラ。小さくてもいっぱいに広がれば、日本人の心に響く絶景です。マメザクラはまさに「優れた美人」なのでしょう。

(2015年4月16日、箱根湿生花園にて撮影)

【マメザクラの基本情報】

●和名…マメザクラ(豆桜)
(別名…フジザクラ、ハコネザクラ)
●学名…Cerasus incisa / Cerasus incisa var.incisa
●英名…Fuji cherry
●バラ科サクラ属
●落葉低木
●樹高…約 3m~8m
●開花期…3月下旬~5月中旬
●葉より早くまたは同時に開花
●葉…互生で長さ約2cm~5cmの卵形
(縁に大小の鋸歯状あり)
●5月~6月に赤黒く結実
●花言葉…「優れた美人」「純潔」「淡泊」

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