コアジサイは梅雨の森にいっぱい、甘い芳香をほんのりと漂わせて…

コアジサイは細やかな薄紫色をいっぱい咲かせる花。箱根の山と森にほんのり漂う芳香は、蒸し暑い梅雨の日々をしばし忘れさせてくれます。

(2017年6月17日、芦ノ湖西岸歩道にて撮影)

【鬱陶しさを忘れるさわやかさ】

グレーの厚い雨雲から、時折日差しが降りそそぐ6月の箱根。仙石原のあちこちには色とりどりのアジサイが、今を盛りと咲き競っているでしょう。

湿り気を帯びた森に入ると、どこかから香りが漂ってきませんか。その香りを放つ主こそ、コアジサイの花。梅雨を彩る数多いアジサイの中で、独特の趣を描きあげる花です。

(2013年6月17日、仙石原自然探勝歩道にて撮影)

【色彩と香りを放つ不思議な花】

コアジサイは日本の固有種で、関東地方から九州地方にかけての山地や林縁部に自生します。開花期は6月から7月。高さ約1.5mほどの枝分かれした低木に、いっぱいの花を咲かせるでしょう。

アジサイの花はそのほとんどが装飾花ですが、このコアジサイは装飾花ではなく、小さな5弁花がいっぱい集まって咲くのです。

(2016年6月19日、芦ノ湖西岸歩道にて撮影)


色は薄紫が基本ですが、白・青・黄・グレー・紫といっぱいの色があるでしょう。そしてこの花々から漂う独特の香りは、しっとり湿った梅雨の森へ、静かに広がっていきます。

ここ箱根では仙石原箱根湿生花園芦之湯温泉周辺などあちこちで見られますが、とりわけ芦ノ湖西岸沿いや鷹巣山では、いっぱいの群落となって咲き競います

また現在は登山禁止となっていますが、箱根最高峰・神山もコアジサイに彩られます。

(2015年6月17日、鷹巣山にて撮影)

【花々以上に存在感を放つ緑葉】

花々をうまく演出する葉も忘れてはなりません。長さ約5cm~8cmの、やや光沢があり鋸歯が刻まれた葉は、箱根の深い山に違和感なくマッチしています。

夏は緑色を輝かせていますが、秋には一斉に黄色へと変わるでしょう。紅葉に彩られた森にコアジサイの黄葉は、静かながらも強い存在感を放ちます。

花と葉(2016年6月19日、芦ノ湖西岸歩道にて撮影)

秋の黄葉(2010年11月23日、芦ノ湖西岸歩道にて撮影)

【恋人たちよ、強く結ばれて!】

コアジサイは梅雨最中の6月に開花しますが、その花言葉は「忍耐強い愛」。いくつもの困難を乗り越えてこそ、愛はより強く深くなるのでしょう。

恋人同士で仙石原を訪れたみなさん、どうぞコアジサイをごらんくださいね。ジューンブライドで結ばれる愛も、これから結ばれる愛も、コアジサイが祝福してくれますよ❤❤❤❤❤❤❤

(2023年6月13日、芦ノ湖西岸歩道にて撮影)

【コアジサイの基本情報】

●和名…コアジサイ(小紫陽花)
●学名…Hydrangea hirta
●英名…なし
●アジサイ科アジサイ属
●落葉低木
●樹高…約 1m~1.5m
●直径約5cmの花序に5弁花が密集
(1つの花は約4mm、10本の雄しべ)
●葉…長さ約8cm内外で縁は鋸歯状
●開花期…6月上旬~7月上旬
●花言葉…「忍耐強い愛」

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