キビタキは緑深き森林にふと現れる鳥、誰もが息を呑むオレンジ色の輝き!
キビタキは緑深い夏の森に、どこからともなく現れる鳥。朗らかな声に乗せてオレンジ色の体をひるがえし、私たちの心を奪い取ってくれます。
この記事の目次
【深い緑のどこかから…ふと現れて】
さわやかな青空と新緑から、グレーの梅雨空と深緑へ移り変わる箱根。仙石原のあちこちではヤマボウシやアジサイが咲き競い、ホトトギスが夏の訪れを謳います。
日常生活を少し離れ森林浴に出かければ、その鳥はやや甲高い声色で現れるでしょう。
姿が見られれば幸運!! 黒い体から見せるオレンジ色で、箱根の色濃い森に輝くキビタキです。
【あざやかオレンジにピッコロロ…】
キビタキは東南アジア方面で越冬し、はるばる日本へ飛来する夏鳥。4月~8月頃に全国の山間で繁殖し、比較的明るめの森林を好みます。
オスは黒い体に白い模様があり、何と言っても喉から胸部にかけてのオレンジ色が目立つでしょう。また顔と背中にもオレンジ色があり、顔はまるで眉毛のようになります。
一方メスは卵や雛(ひな)を守るため、地味な灰褐色~緑褐色をしています。
そして「ピッコロロピッコロロ ピロピロピロピロ・・・」とやや甲高く朗らかなさえずり。オスの縄張り宣言や恋愛アピールです。
ときどき「ピッコロロピッコロロ オーシーツクツクオーシーツクツク・・・」と、夏の終わりに鳴くセミ・ツクツクボウシのような声を出すこともあります。
ちなみに地鳴きは「ヒッヒッヒッヒッヒッ プリリリリリ・・・」ときこえる少し奇妙な声。キビタキの「日常会話」と言われています。
ここ箱根ではほぼ全域に生息しており、特に仙石原自然探勝歩道や芦ノ湖畔、さらには金時山や鷹巣山でよくお目にかかれるでしょう。
【キビタキとオオルリとの共演が!】
キビタキが仙石原に来るのは例年4月中旬、他の夏鳥たちも多く箱根に来る頃です。中でもオオルリはほぼ同時期に、同じような森林環境に現れます。
しかもキビタキ・オオルリともFlycatcher(フライキャッチャー)という英名があり、飛びながら虫を捕らえる得意技も共通しています。さらには声色までそっくり!
仙石原自然探勝歩道では初夏、キビタキとオオルリがいっしょに見られるかもしれません。オレンジ色のキビタキと、青色のオオルリ・・・出会えたら本当に幸運ですね。
【個人的な想像で・・・すみません】
先日のことでした。暑い日だったので冷たいゼリーを買ってきたら・・・何とデザインがキビタキにそっくり!! 黒い体とオレンジ色・・・つい、想い出してしまいました。
【僕は夏の仙石原にいるからね!!】
私が初めてキビタキに出会ったのは1996(平成8)年初夏、梅雨時の仙石原自然探勝歩道です。緑の森から本当にふらりと現れ、朗らかなさえずりにオレンジのカラー。
世の中にこんな美しい鳥がいるのか・・・素直に感じたことを今も覚えています。でもキビタキは夏が終われば去っていきます。
仙石原へお越しのみなさん。僕、夏までいるから会いに来てね!!
【キビタキの基本情報】
●和名…キビタキ(黄鶲)
●学名…Ficedula narcissina
●英名…Narcissus Flycatcher
●ヒタキ科キビタキ属
●夏鳥
●観察できる時期…4月中旬~8月上旬
●体長…オス・メスとも約14cm
●翼開長…オス・メスとも約22cm
●オスの体色…頭部からくちばし・背中・尾にかけて黒色、
顔と喉と胸部はオレンジ色、
●メスの体色…地味な緑褐色~灰褐色
●鳴き声
・地鳴き…ヒッヒッヒッヒッ、プリリリリリ
・さえずり…ピッコロロピッコロロ、オーシーツクツク