丸岳はどこから見てもすぐわかる山、仙石原に四季の変化をプレゼント!
丸岳(まるだけ)は箱根町の北西端に位置します。仙石原の空をごらんください。東から西へ外輪山の山並みが続いているでしょう。
向かって右に金時山、真ん中に長尾山、そしていちばん左が丸岳です。
芦ノ湖スカイライン・三国峠から望む丸岳(2014年12月15日撮影)
この記事の目次
【箱根の北西に大きくどっしり】
丸岳は箱根の北西に鎮座する山。約40万年前から大規模な火山活動を続けた箱根は「三重式カルデラ」という地形になりました。
金時山や長尾山・乙女峠などと共に、外側を大きく取り巻く古期外輪山に属します。
【仙石原のランドマーク的存在】
標高は1,156m。頂上には「NTT丸岳無線中継塔」が建っており、日常生活に欠かせない通信網・情報網を支えています。
この大きな鉄塔のお陰で丸岳は、東西南北どこから見てもすぐにわかるでしょう。まさに仙石原のランドマーク的存在として、人々を見守る山です。
【激しい火山活動を物語る山】
険しい金時山とは対照的に、丸岳はゆるやかな山。しかし仙石原側の山腹には、箱根火山活動初期に現れた岩石が、今も所々に露出しています。それが長尾峠から丸岳にかけての、神奈川県道736号沿いに残された「露頭(ろとう)」と呼ばれる地層。
約40万年前に始まったとされる箱根の火山活動。その初期には富士山のような形をした「成層火山」が至る所で噴火をしていました。
仙石原にもこの成層火山があり、激しい活動によって残された岩石や土砂が、地層となって現れているのです。ここは「箱根ジオパーク 箱根早川沿い」の一つに指定されています。
また同じく仙石原側の山腹には、ダルマ石と呼ばれる岩石があります。
これは約2,900年前、神山の噴火活動によっておきた火砕流で、大涌谷の方から激しく流下してきた岩石が、古期外輪山までやって来たものです。
丸岳は大らかな姿をしていますが、反面で箱根火山活動の激しさを語り継ぐ山なのです。
仙石原自然探勝歩道から望むダルマ石(2010年7月31日撮影)
【箱根火山の形がよくわかる山】
森林の多い金時山や長尾山に比べ、丸岳は明るく開けた山です。頂上はまさに絶景。
正面に望む大涌谷や神山を中心に、取り囲む外輪山の山々や、カルデラ内に形成された芦ノ湖、そして足元に広がる仙石原…。
箱根がどんな形をしているのかが、手に取るようにわかってきます。
明神ヶ岳と明星ヶ岳、眼下には仙石原(2016年5月5日撮影)
【北西には富士山が見える!!】
頂上から2分ほど移動すれば、NTT無線中継塔の下へ出ます。富士山はここから眺めるのがベスト。また長尾峠側登山道の富士見台からも、素晴らしい眺めが得られるでしょう。
新緑の季節は残雪の富士山が、紅葉の季節は新雪の富士山が望めます。
【丸岳に咲く花たちをご紹介!!】
丸岳は頂上付近が開け、適度な明るさの森林に覆われています。そのため春から秋にかけては、さまざまな花が見られるでしょう。代表的な花々を15枚の写真でご紹介します。
タチツボスミレ(2014年5月9日撮影) オトメスミレ(2021年4月26日撮影)
ミヤマハコベ(2021年4月26日撮影) ミツバツチグリ(2016年5月5日撮影)
ニョイスミレ(2019年5月5日撮影) ニオイタチツボスミレ(2021年4月26日撮影)
マメザクラ(2017年5月2日撮影) オオシマザクラ(2010年5月3日撮影)
エイザンスミレ(2014年5月9日撮影) ヒメハギ(2021年4月26日撮影)
モミジイチゴ(2017年5月2日撮影) ヤマルリソウ(2015年5月2日撮影)
リンドウ(2010年11月16日撮影) リュウノウギク(2014年10月25日撮影)
【仙石原に四季を知らせる山】
仙石原から望む丸岳は、金時山や長尾山と共に、季節の移り変わりを教えてくれます。春の新しき若葉に、夏の深く濃い緑。
秋のつつましやかな紅葉に、冬の霧氷と雪化粧…。大きな山容の丸岳は表現力も豊かです。
そして、こんな光景も見せてくれました。
【主な登山コースを紹介!!】
仙石原を起終点とする丸岳の登山コースは、次のとおりです。
(1)乙女口~乙女峠 経由コース
仙石原の中心「仙石原交差点」から国道138号を、御殿場方面へ約30分歩いた「乙女口バス停」前が登山口です。ヒノキ林と広葉樹林を登れば乙女峠に到着。
ここからは緑鮮やかで、秋は紅葉の美しい尾根道。鉄塔が近づいてくると、やがて丸岳頂上です。
【所要時間・・・片道 約1時間45分】
●仙石原交差点(30分)乙女口バス停前(40分)乙女峠(35分)丸岳頂上
登山口のお地蔵さん(2022年5月5日撮影) 乙女峠への登り(2022年5月5日撮影)
乙女峠に到着(2016年5月1日撮影) 乙女峠から丸岳への登り(2019年5月5日撮影)
※時間と体力に余裕があれば長尾峠まで縦走下山し、耕牧舎跡から仙石原自然探勝歩道で仙石原へ帰ることもできます。
(長尾峠~耕牧舎跡~仙石原まで約2時間15分)
(2)長尾峠駐車場~長尾峠 経由コース
マイカーをお持ちであれば国道138号を御殿場方面へ進み、途中で左の神奈川県道736号に入り、約10分で長尾トンネルを通過。
国道138号から左へ(2021年4月26日撮影) 長尾トンネル(2022年7月6日撮影)
左折して上ると箱根スカイラインの入口があり、手前を左に入れば長尾峠駐車場です。ここから古期外輪山への登山道が出ており、尾根沿いに登れば長尾峠。
さらに進んで富士見台を過ぎると、急な階段の登りを経て丸岳頂上へ至ります。
【所要時間・・・片道 約40分】
●長尾峠駐車場(5分)分岐(10分)長尾峠(15分)富士見台(20分)丸岳頂上
駐車場から登山道入口(2021年4月26日撮影) 長尾峠に到着(2017年5月2日撮影)
富士見台(2017年5月2日撮影) 急な階段を登る(2021年4月26日撮影)
(※)もっと時間と体力に余裕があれば、金時山から丸岳へ縦走するのもいいでしょう。
金時山・長尾山・丸岳の「3座登頂」となります。【金時山から丸岳まで、約1時間30分】
【丸岳はいつも仙石原と共に】
丸岳は頂上の鉄塔と、名称のとおり丸っこい姿が特徴的。箱根町内からはもちろん、箱根町外にいてもすぐにわかる山でしょう。
仙石原から出かける時は「いってらっしゃい」、帰って来た時は「お帰りなさい」…そう語りかけてくれる故郷の山であり、不思議に気持ちを落ち着かせてくれる山です。
【丸岳の基本情報】
●標高1,156m
●古期外輪山
●箱根で第7番目に高い山
●富士箱根伊豆国立公園
●神奈川県足柄下郡箱根町、静岡県御殿場市、
●頂上にはNTT無線中継基地
●北には乙女峠、南には長尾峠