冠ヶ岳は大涌谷の噴煙と共に、箱根火山活動の凄まじさを物語る!

冠ヶ岳(かんむりがたけ)は箱根火山の中心・神山の北に位置します。仙石原の空をごらんください。噴煙わきたつ大涌谷に尖った山が見えるでしょう。これが冠ヶ岳です。

仙石原から望む大涌谷と冠ヶ岳(2022年4月30日撮影)

【箱根の想い出は尖った山】

これまで箱根を訪れた多くの人々が、まず思い浮かべるのは大涌谷でしょう。ロープウェイに黒タマゴに富士山の眺め・・・次々と脳裏によみがえってきますね。

そして鼻を突く硫黄の匂いと、白く湧きたつ噴煙の向こうに、黒く尖った山がそびえていたでしょう。

その尖った山が冠ヶ岳なのです。この大涌谷と冠ヶ岳こそ、箱根火山のシンボルと言えます。

箱根ロープウェイ・大涌谷駅前から望む冠ヶ岳(2019年3月25日撮影)

箱根最高峰の神山(1,438m)の北にある冠ヶ岳。標高は1,409mと、箱根では2番目に高い山です。

この神山と冠ヶ岳は箱根火山の歴史を語る上で、切り離せない関係にあります。

芦ノ湖展望公園から望む大涌谷と冠ヶ岳と神山(2015年5月1日撮影)

【箱根でいちばん新しい山】

約40万年前から大規模な火山活動を続けてきた箱根。

金時山明神ヶ岳などの古期外輪山が囲み、屏風山や浅間山などの新期外輪山が中を巻き、神山や駒ヶ岳などの中央火口丘中心に、三重式カルデラを形成しました。

このうち神山の基礎となる中央火口丘は約5万年前に誕生し、その後も激しい火山活動を経て駒ヶ岳二子山などの「溶岩ドーム」を誕生させます。

姥子船見岩から望む冠ヶ岳(2015年5月22日撮影)

そして約3,000年前、いちばん北に位置する神山が噴火(水蒸気爆発)。北西側が崩壊した後、約2,900年前にマグマが噴出して盛り上がり、尖った山体が登場しました。

山体は長い年月をかけて冷え固まり、現在の冠ヶ岳となったのです。箱根ではいちばん新しい山とされています。

仙石原自然探勝歩道から望む大涌谷と冠ヶ岳(2010年4月25日撮影)

【火山の力が誕生させた名所】

冠ヶ岳の誕生は北西方向に激しい火砕流を発生させ、既に形成されていたカルデラ内を土砂で埋め尽くしました。

この大量に積もった土砂が現在の仙石原を形成し、せき止められた川の水が南へ溜まって芦ノ湖を作り、大涌谷の噴煙と共に箱根の火山活動を今に伝えています。

尖った冠ヶ岳、噴煙上げる大涌谷、青く広がる芦ノ湖、そして仙石原…すべて自然のエネルギーが作り上げたのです。

湖尻峠付近からの眺め。左から大涌谷、冠ヶ岳、神山、右奥に駒ヶ岳、手前に芦ノ湖(2010年11月23日撮影)

【有名キャラクターにそっくり?】

冠ヶ岳はその尖った独特の姿から、さまざまな連想をかき立てるようです。

私がこれまで聞いたところでは・・・名称のごとく「冠に似ている」「烏帽子に似ている」「兜(かぶと)に似ている」などがありましたが・・・

最もユニークだったのは、ある女の子が言った「ムーミンに似ている」でした!!
う~ん・・・なるほど。

湖尻付近から望む冠ヶ岳(2018年4月19日撮影)                          
 
(ムーミン写真引用)画像でつながるコミュニティ「プリ画像」より、投稿者…いちごみるくさん

【荒々しくも美しく華やかな山】

大涌谷と冠ヶ岳・神山は火山活動を続けているため、人が立ち入れる場所も制限されています。でもその分、手つかずの自然が保護された山と言えるでしょう。

5月下旬にはピンク色のベニバナヒメイワカガミが頂上付近を彩ります。また赤紫色のトウゴクミツバツツジが山肌を彩る光景には、感嘆の声を上げたくなるでしょう。

秋はオオイタヤメイゲツやコミネカエデなど、多彩な木々の紅葉に彩られます。

神山から望む冠ヶ岳(2010年6月1日撮影)

【尖った頂上へまた登りたい!!】

冠ヶ岳は神山と同じく火山活動の活発化により、2015年5月以降、入山が禁止されています。大涌谷から約1時間登り、神山との分岐を右に入るとやがて冠ヶ岳の頂上。

展望こそありませんが、大涌谷のエネルギーを足元に感じられました。噴煙と硫黄の匂いに包まれながら、箱根火山をまさに体感できる山…それこそが冠ヶ岳です。

今は仙石原から眺めるのみですが、またあの尖った頂へ立てる日が来ますように。

神山登山道から望む冠ヶ岳(2010年5月21日撮影)

【冠ヶ岳の基本情報】

●標高1,409m
●中央火口丘(溶岩ドーム)
富士箱根伊豆国立公園
●箱根で2番目に高い山
●大涌谷から見える尖った山
●神奈川県足柄下郡箱根町
現在入山禁止

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