矢倉沢峠は箱根外輪山の重要拠点、町内外を結ぶ新しい道路が完成!
矢倉沢峠(やぐらさわとうげ)は、天下の秀峰・金時山の重要基点です。仙石原の空をごらんください。金時山が右へ肩を張り出したような所、ここが矢倉沢峠です。
箱根ロープウェイから望む金時山、中央下が矢倉沢峠(2022年12月20日撮影)
この記事の目次
【外輪山を連絡する重要な峠】
約40万年前から大規模な火山活動を続けてきた箱根。矢倉沢峠は外側を取り巻く古期外輪山に属し、金時山や丸岳などと並んで最も古い部類の山に入ります。
左には金時山から長尾山~乙女峠~丸岳が続き、右には明神ヶ岳方面へと延びる山並み。矢倉沢峠は外輪山の山々を中継するキーステーションなのです。
【登山者を迎える休憩ポイント】
金時山は箱根でいちばん人気のある山。年間10万人近い登山者が、春夏秋冬その頂上を目指します。
仙石原からは3つの登山コースがありますが、最も短時間・短距離なのは国道138号「金時登山口バス停」からのコース。約2時間で頂上に達するでしょう。
別荘地の坂道を登った後、鬱蒼とした林の中を登りつめます。そして突如明るくなった場所が、標高867mの矢倉沢峠。
人々はここでしばしの休憩をとり、水分や軽食を口にしてから、345m上にある金時山頂上を目指して行くのです。
【新しい一般道路が開通!!】
これまで矢倉沢峠へは、登山道以外に到達する手段がありませんでした。
しかし2021(令和3)年4月、許可車両のみ通行可能だった林道が「はこね金太郎ライン(神奈川県道731号)」という一般道路として開放されます。
これにより仙石原から矢倉沢峠へは、短時間でアクセスできるようになりました。
公時神社近くのライン入口から約5分。金時山を貫く金時隧道(トンネル)を通過後すぐ右側には「金時見晴パーキング」が新しく整備されています。
同時に金時山への登頂時間も、約40分に短縮されたのです。
登山道入口(2022年2月9日撮影) すぐ前は金時隧道(2023年2月3日撮影)
【南足柄市方面が近くなった!!】
はこね金太郎ラインは、隣接する南足柄市への最短ルートにもなりました。
従来は小田原市または御殿場市方面から大回りする必要があったのですが、それが約20分余りでの距離になったのです。
またそれだけではなく、これまでアクセスが困難だった矢倉岳(標高870m)にも近くなりました。
はこね金太郎ラインの南足柄側出口には長者橋駐車場(無料)が整備されており、ここから片道約2時間余りでの登山が可能となったのです。
矢倉岳からは富士山が大きく望めます。
【矢倉沢の由来は山の形…?】
矢倉岳の東麓には矢倉沢という集落があります。昔は足柄峠を越える旅人が通っていました。
矢倉岳の名称は、旅人たちを見守る「櫓(やぐら)」を連想させることから付けられたとの説。
三角形の山の形は、どこか金時山に似ています。あるいは金時山も「櫓」に見立てられ、矢倉沢峠という名称を発したのかもしれません。
矢倉沢峠付近から望む金時山(2018年5月1日撮影) 小田原市内から望む矢倉岳と富士山(2014年10月17日撮影)
【主な登山コースを紹介!!】
(1)金時登山口コース
仙石原の中心・仙石原交差点から、国道138号を御殿場方面へ約2分。「金時登山口バス停」前が登山口です。
別荘地とヒノキ林を約30分登れば、明るい矢倉沢峠に到着します。金時山頂上までは約1時間10分。
矢倉沢峠からは、明神ヶ岳(標高1,169m)へも足を運んでみましょう。大小6つのピークを越え、片道約2時間30分です。
【矢倉沢峠でほっと一息入れよう】
矢倉沢峠は金時山へ登る人に「まずは休憩して」と迎え「さあ、頑張れ!!」と送り出してくれます。
ドライバーやライダーのみなさんにも「少し一服して」と、ささやかな安心感を与えてくれます。
金時山はもちろん近隣市町村へのアクセス、矢倉岳という山へのアクセス…これらの道を切り開いたのはまぎれもなく矢倉沢峠。一息入れて行動開始しましょう。
仙石原文化センター前から望む金時山、右端が矢倉沢峠(2022年7月20日撮影)
【矢倉沢峠の基本情報】
●標高 867m
●古期外輪山
●富士箱根伊豆国立公園
●神奈川県足柄下郡箱根町、神奈川県南足柄市、
●うぐいす茶屋は不定期に営業の模様
●はこね金太郎ラインと金時見晴パーキングがオープン
(注)はこね金太郎ラインはせまく対向車が多いため、充分注意して通行ください。
(注)金時見晴パーキングは35台駐車可能ですが、満車になることがよくあります。