サンショウバラは箱根町の誇り、淡いピンクの花よ永遠に輝け!
サンショウバラは誰の心をもとらえる淡いピンク色、世界最大のバラとして開花します。初夏の空と深緑に映える姿は、ここ箱根の山の象徴です。
この記事の目次
【初夏の箱根のあちこちに…】
爽やかな五月晴れの空が、やがて梅雨空に変わろうとする5月下旬。箱根町内のあちこちに、ピンク色の花がぽつぽつと咲き始めます。
葉が山椒(サンショウ)に似ていることから名付けられたサンショウバラ。
ここ仙石原でも箱根湿生花園をはじめ、長安寺や公時神社の境内、金時山などで見られます。各家庭にも植えられており、一斉に開花する光景は見事でしょう。
【貴重な世界最大のバラ】
サンショウバラが開花するのは5月下旬から6月中旬。高さ約5m~6mの樹木に、直径約8cmの「五弁花」が目立ちます。特徴の淡いピンク色は少しずつ濃くなりますが、ときどき白い花も見られます。
日当たりの良い場所を好むため、その分花も大きくなるのでしょう。地球上には約150種類のバラがありますが、サンショウバラは木の高さ・花の大きさから「世界最大のバラ」と言われています。
花には黄色い花粉が付いており、多くの虫たちが集まってきます。
ちなみに箱根湿生花園では、同じバラ科でよく似た「ハマナス」が見られます。
ハマナス(2015年6月11日撮影)
【夏から秋にはトゲトゲの実】
花が終わってしばらく期間を置き、夏には硬いトゲに覆われた果実を付けます。果実ははじめ青緑色をしていますが、秋にはだんだん黄色く熟してくるでしょう。
虫に食われていることが多いですが、果実酒やジャムに利用できます。
(2022年8月27日、箱根湿生花園にて撮影) (2022年9月4日、箱根湿生花園にて撮影)
【ハコネバラと呼ばれる町の花】
サンショウバラは標高500m以上のみに育つため、ここ箱根はまさに最適な環境。その美しさと清楚さから、1976(昭和51)年8月に「箱根町の花」とされました。
(同時にヤマザクラが「箱根町の木」に制定されています)
知名度はどんどん高まり、いつしか「ハコネバラ」の呼称が付けられたのです。
【日本では富士山と箱根だけに】
さらにサンショウバラは、日本ではここ箱根や富士山周辺のみに棲息しています。愛鷹連峰や丹沢連峰、伊豆天城方面ではお目にかかれません。
咲いている期間も短いため、世界に誇れる貴重な花なのです。
明神ヶ岳から望む箱根の山々と富士山(2022年3月12日撮影)
【あの日あの時も咲いていた…】
2015(平成27)年初夏、大涌谷の火山活動により箱根は一時「噴火警戒レベル3」となりました。
もしかしたら大きな噴火がおきるのか…ここ仙石原にも不安と緊張が走ったことを、今でもはっきりと思い出します。
ちょうど季節はサンショウバラの咲く頃。箱根を訪れる人々、住む人々の不安を和らげてくれたのは、サンショウバラの花々でした。
そして今なお続く新型ウイルスの不安も、サンショウバラが少しおさめてくれたように思います。
サンショウバラは人々に元気を与える箱根の誇りです。
【サンショウバラの基本情報】
●和名…サンショウバラ(山椒薔薇)
(別名…ハコネバラ)
●学名…Rosa hirtula
●英名…なし
●バラ科バラ属
●落葉小高木
●樹高…約 5m
●直径約8cmの五弁花
●葉…奇数羽状複葉(1つの枝に9枚~19枚)
●開花期…5月下旬~6月中旬
●箱根町の花に制定される
●花言葉…「温かい心」